研究成果の発表方法について

研究機関に所属していない独立研究者にとっては、研究結果をまとめてどこで発表するかが問題の一つです。

もちろん職業的研究者であっても同じだろうけど、所属がなければ掲載される論文も掲載されなくなるだろうし、英文誌なら投稿料・英文校閲料も馬鹿にならない。

 

手近な同好会誌・研究会誌には出せても、それなりのインパクトがある雑誌に載せることができるのか。研究機関に所属していない著者がどれくらいいるか、昆虫学分野で少し調べたけど、査読ありの雑誌では、一線を退いた名誉教授のものくらいしか見当たりませんでした。

 

単に無所属で査読付き論文レベルの研究結果を出せる人がいないだけかもしれないけど、無所属研究者の研究の質が疑われるのは避けられないのではないでしょうか。

 

生物学においては、分布の新記録や生態観察など、ちょっとした研究結果の積み重ねが研究を下支えしています。昆虫学では各地域・各分類群に特化した研究会誌が多数ありますが、そこに留まリ続けている間は、アマチュアのレベルが頭打ちしてしまうのではないかと感じることもあります。

今のアマチュア研究者のレベルが低いというわけではなく、むしろ高いほうだと思っていますが、野良研究者でないと難しい研究で、プロ並みの成果を出す人がもっと出てきてもおかしくないんじゃないかと思っているので、あえてこういう表現をしています。なお「野良研究者でないと難しい研究」というのは、地味で予算が取りにくい研究、特定の地域に根差した研究などを想定しています。

 

無所属研究者歓迎の、開かれた学術雑誌の存在は、これから求められていくんじゃないかと思っていますが、現状では、逆に趣味で研究をしようと思う層の減少も大いにあり得ると思っています。どちらに転ぶか。