ニッチェ・ライフについて

Niche Life Vol.1

ニッチェ・ライフ(Niche Life)は、早川昌志氏(神戸大)と共同で去年創刊した無料オンライン生物雑誌です。

脊椎動物や昆虫(特にチョウとカブト・クワガタ)、観葉植物など、メジャーな生物が扱われる雑誌は数あれど、そこからはみ出した多種多様な生物のことを広く扱う雑誌は見当たらない。なら自分で作ってしまおうというのがきっかけでした。

 

当初、あらゆる生物の図鑑やデータベース的な役割をもったサイトを構築し、その一部として発行するものとする、という構想もありましたが、あまりに壮大すぎたので、とにかく一度雑誌として出すことになりました。

 

ちなみにここでいう雑誌は、学術雑誌と一般向け雑誌を合わせたもので、ニッチェ・ライフはどちらの役割も担える雑誌となるのが私の理想です。 

 

おおまかな目的や理想としては、

一般にあまり知られていない生き物の生態や種類を広く紹介する

研究者・愛好家の調査研究・観察結果などを発表する場として活用される

ことを通じて、いろんな生き物に関心を持つ人を増やし、さらにはその人たちが独自に調査や研究に加わることで、学問的な発展に寄与する、というのがあります。

 

まだ始めたばかりで、認知度もない状態ですので、どうすればこれを進められるかを少し考えています→


既存の商業的生物雑誌というと、Natureやナショナルジオグラフィック等の総合雑誌のほか、BIRDER(鳥類)、月刊むし(昆虫)などの大分類群を専門的に扱うもの、それに犬猫やアクアリウムなど、愛好家向けのペット雑誌などがあります(ちなみにBIRDERはもともと「日本の生物」という名前で、日本の生き物を広く紹介する雑誌として創刊されましたが、早い段階でバードウオッチング専門の雑誌に変わってしまいました)。

学術雑誌にはもっと狭い分類群のみを扱ったものも数多くあり、あまり知る機会のないマイナー分類群の研究も多数載りますが、一般向けというよりあくまで研究者向けの内容です。

 

一般向けにマイナー生物の情報を提供できるような機会は限られており、珍しい生物を紹介するカラパイアなどのサイトはあるものの、より深く突っ込んだ内容を扱えるところはあまりありません。

 

そこでニッチェ・ライフは、自分が熱を入れ込んで調査・研究・観察している生き物のことを、ビジュアル的にもわかりやすく紹介できる記事を広く扱います。ここでいう調査研究は、非常に広い意味で考えており、研究機関に所属してるとか博士号を持っている人の研究だけでなく、ある生き物が好きで飼ったり標本を集めたり写真を撮ったりしているとか、ある場所の生き物をずっと観察しているとか、そういうアマチュア研究者や愛好家・趣味人(私は野良研究者とも呼んだりします)の活動も入れています。各種の生物系同好会誌に報告を上げたりする方は特に、どんどん取り込めればと思っています。

 

そういう人が持っている情報を出して、他の人がその生き物に関心をもつ、あるいはその生き物を調べる時の手引きになる、というのが理想の姿です。どんな記事が集まるのが理想か、今考えて列挙してみました。

 

・身近な生き物を調べる時の手引きになる記事・図鑑

・珍しい生き物の紹介・情報提供の呼びかけを含む記事(特に、研究が遅れている分類群の内容だとなおよし)

・自分が熱心に調べている生き物の生態(生き様)を紹介する記事

・絵解き検索表(絵を見て手元の生き物が何という種に該当するかを調べる表)を含む記事。オリジナルの内容だけでなく、既存論文の内容を絵解き化したものもアリ。

・オリジナルで考えた(またはアレンジした)採集方法や観察・飼育方法の記事

・学術雑誌に掲載された内容を一般向けに噛み砕いて紹介する記事

・自分の採集・観察記録を発表する記事(いわゆる報文)

・中高生の研究報告など

・文献調査の結果報告や文献リストなど

 

思いつくままに列挙すればこんな具合。

 

たとえば「冬の里山昆虫の採集」(行きたい)とか、「アタマアブ――でかい頭の小さなハエ」(私が読みたい)とか、「3Dプリンタで標本から模型を作る方法」(超読みたい)とか、「土壌性カニムシを調べてみよう」(全然区別できません)とか「ニトベノミバッタの本州初記録」(実際にはそんな記録は知りません。でもノミバッタ好きなんですよ)とか、「ナントカ池周りのコケ植物調査記録」(架空の池です)とか、そういうのを扱いたいです。

 

特に、学術雑誌とかで発表したいけど投稿のハードル高い(あるいは学会に所属してない)などと思っているアマチュアや愛好家のデータを、気軽に発表できる場としての役割は担えればと思います。ISSN(雑誌コード)も取得しているので、やろうと思えばアマチュアによる新種記載だって可能です。もちろんかなり慎重にやらないと、余計に分類を混乱させることにもなるので、それなりに内容はチェックしないといけませんが。

 

そう考えると、つまるところプロ・アマ問わず博物学が好きな人(博物学を発展させたい人)のための雑誌を目指しているのだろうか、と今思いました。

 

なんだか超長くなったので、じゃあ具体的にどう人と記事を集めるかは、また別の記事で。コメント等大募集します。